ワキガは病院で治すべき?治療方法と注意ポイントについて
ワキガは病院で治療ができます。正しくは腋臭症(えきしゅうしょう)と呼ばれる病名で、アジア人よりも欧米人に多い傾向があります。ワキガはワキに集中するアポクリン汗腺が原因、人間の体から分泌される汗は様々な役目を持っていますが、ワキガの汗は精神的な緊張が続くと多く汗を分泌する傾向があります。
ワキガは軽度~重度までレベルは個人差があり、市販のデオドラント剤だけでも改善する場合が多いのですが、稀に専門的な治療が必要なケースもあります。そこでワキガで悩みの方へ、病院でできる治療方法の種類や注意点について詳しく解説したいと思います。
治療の判断する基準はなにか?
ワキガを病院で治すべきか、また自分はワキガなのかどうか。気になる場合は皮膚科やクリニックで相談することが可能です。日本ではニオイに関してとても敏感な人が多く、欧米以上にワキガを悪いこととして捉える傾向があります。ワキガは親から遺伝することや、食生活や生活習慣などが関係しホルモン分泌が活発になる思春期意向になると増えはじめます。
原因となるアポクリン汗腺はワキ以外にも耳のなかに多いため耳垢が湿っている方はワキガの可能性がありますので自分で綿棒を使い調べることができます。しかしそれだけでは不安な場合は病院で医師に確認してもらいましょう。
この際ですが、医師は特別な器具を使用して判断するのではなくニオイを嗅いだり、耳垢を調べるなど同じような方法で確認をします。本人が気にしているかどうかもワキガかどうか判断する基準のひとつです。ワキガ臭が強く手も平気な人もいますので、その場合には治療は不要と判断されます。
このようにワキガを判断するためのはっきりとした診断基準はないため、病院や医師次第で変わってくるでしょう。ワキガと診断されて治療が必要かどうか判断するには、本人や家族の意見も参考にして慎重に考える必要があります。またあまりにニオイに敏感になりすぎ、つねに自分が臭いと不安を抱く「自己臭症」という症状もあるため、この場合は精神的な面からサポートが必要になることもあるでしょう。
外科的に行う剪除法とは
ワキガを病院で治療する際に多く行われる手術です。ワキガは皮下に存在するアポクリン汗腺から分泌される汗が原因なので、この手術では4~5cmほど皮膚を切開し反転させたのちに、医師が目で確認しながらアポクリン汗腺と皮膚組織を切除します。切除した後はタイオーバーで皮膚を固定、術後は4~5日ほどで包帯を外し、2週間前後で抜糸をする流れになっています。
抜糸した後も傷はしばらく不安定なので、体の動きには多少注意が必要。包帯を外した後はシャワー入浴は可能になり、術後1週間ほどは腕の上げ下ろしも制限される場合が多くなっています。傷跡が落ち着くまで1~2か月、完全に落ち着くまでは1年ほどかかる場合も。剪除法はワキガを病院で治す方法としてポピュラーですが次のようなメリットとデメリットもあるので慎重に判断しましょう。
メリット
医師から腋臭症と診断された場合に行う手術は、健康保険適応になります。アポクリン汗腺を取り除くためかなり高いワキガ改善効果が期待できます。
デメリット
外科的な手術なので傷跡が残る可能性があること。また手術後のダウンタイムが長く、腕を固定するため肩関節の痛みを訴える方も稀にいます。リスクとしては感染や色素沈着、内出血などもありますので術前はきちんと医師に気になることは質問しておきましょう。
超音波メスを使う外科手術方法について
剪除法の一種で皮膚からアポクリン汗腺を取り除く外科的な手術です。一般的な剪除法ではハサミを使用して手術を行いますが、超音波メスを使用することで皮弁を反転させる必要がなく、深い部分まで超音波が到達するため皮膚への負担が少ないことが特徴です。
超音波メスは2秒間に25,000回以上の細かい振動がありますので、この振動により硬い組織が崩れアポクリン汗腺を破壊することが目的。神経組織や血管は温存できるので安心です。超音波メスは高振動の際に熱を発生させるので、冷却水を散布しながら火傷を防止します。
施術時間は2時間程度、術後は包帯をして最低でも4日間はタイオーバーが必要。2週間後に抜糸を行い、ステロイドクリームなどで傷跡のケアを行います。超音波メスの手術は皮膚が硬化しますが、1~2年ほどで完全に落ち着きます。
では超音波メス手術のメリットとデメリットをみていきましょう。
メリット
アポクリン汗腺を取り除くため、ワキガ改善効果が高いこと。通常の剪除法よりも傷跡が少ないことがメリットです。美容面を意識する方に行われる傾向が多いといわれています。
デメリット
手術後に包帯で固定しないといけないこと。しばらく傷跡が固定しないため安静にすることが必要です。リスクは通常の剪除法と同じで細菌やウイルスによる感染、内出血、アレルギーや色素沈着があります。
皮下組織吸引法で汗腺を除去する方法
ワキガを病院で治療する方法はとても種類が多く、ライフスタイルや年齢、本人の希望などを考慮して最適な方法が選択されます。非直視下手術法のひとつであるこの方法は、ワキに脂肪吸引をするような管を通してそこから汗腺を除去する手術。外科的な手術のなかでは傷跡が小さいため女性の方にも好まれています。
病院により多少施術方法は異なりますが、まずワキガの症状に合わせて切開部位や治療する範囲を決定。エリアが小さい場合は管を通す穴は1か所、広範囲にアポクリン汗腺が広がっている中度~重度の場合は2点式で2か所の穴を開けます。カニューレと呼ばれる専用の管は、はさみ等と比較するとサイズが小さく皮膚への負担が少ないことが特徴。傷をできるだけ残さず患部のみを取り除けることが特徴です。
手術後は1週間ほど安静が必要、ベッドでずっと寝ている必要はありませんが、腕の上げ下ろしや重いものを持たないよう生活のなかで注意が必要です。簡単な家事なら手術当日からできますし、デスクワークなら翌日から仕事復帰も可能。2週間ぐらいでスポーツもできるため、比較的回復が早いことも魅力です。
では気になるメリットとデメリットについてみていきましょう。
メリット
手術時間が短く肌に残る傷跡が少ない手術方法です。術後は翌日から胸下部分は可能になります。
デメリット
汗腺の取り残しのリスクがあり再び多汗症やワキガが再発する可能性があること。術後の生活に対象制限があることがデメリットといえるでしょう。
シェービング法で徹底的に治療する方法
シェービング方法とはその名前の通りに、専用の器具を使用してアポクリン汗腺を除去する方法です。最新の器具として注目されているのは「ベイザー」と呼ばれるもので、特殊な超音波振動を発生させ、血管や神経にダメージを与えずにワキガ原因となるアポクリン汗腺をターゲットにして破壊します。
ベイザーはわずか1㎝前後切開した部分から挿入することが特徴、アポクリン汗腺に超音波を直接照射して溶かしていきます。これだけで十分でない場合は仕上げとして専用器具でシェービング。ワキに残ったアポクリン汗腺をしっかり体外に除去します。通常の外科的な手術と比較すると傷跡は1/4程度。傷口は48時間ほど圧迫しますがダウンタイムが短いことが特徴です。
施術時間は片方20分、抜糸は1週間後、下半身だけなら手術当時からシャワーが可能で全身は術後3日以降ならOKです。ではシェービング法にはどのようなメリットとデメリットがあるのかみていきましょう。
メリット
施術時間が短く入院は不要。ワキガが半永久的に改善されます。傷跡もほどんと目立たないことや肌が弱い人にも適しているワキガ手術です。
デメリット
手術費用が30万円以上と高額、保険適用されないことも多いため事前のカウンセリングで確認しておきましょう。
人気のある切らないミラドライ方法
厚生労働省が認めた切らないワキガ手術のミラドライ方法は、従来の皮膚を切開する外科的な手術よりも様々なメリットが特徴です。ワキだけでなくスソガ治療にも適用される手術法、汗をかきやすい方や美容面が気になる方にも人気があります。
ミラドライとは水分の多い汗腺をターゲットにして汗腺近くにマイクロ波を照射してワキガ治療を行います。ミライドライはワキガ臭が気になる方や、ワキ汗が多くて気になる人方、また手術には抵抗がある方にも大変好まれる方法です。ミラドライはアポクリン汗腺とエクリン汗腺が集中する部分に電磁波を照射するワキガ治療法。ミラドライの電磁波は水分の多い汗腺をターゲットにする働きがあるため、神経などの周辺組織に与えるダメージはほとんどありません。
ミラドライの電磁波汗腺周辺で熱エネルギーに変換、この熱は汗腺を破壊し本来持つ機能を失います。自動的に電磁波のエネルギーの幅や深さを最適化できるため、皮膚を切開する手術よりも負担がかなり軽くなるといえるでしょう。手術前に麻酔をしますが、照射する際に肌表面を熱から守るために冷却。そのため傷みは大幅に軽減されます。
では気になるメリットとデメリットについてみていきましょう。
メリット
切開しないので傷跡が残りません。美容面でも好まれ照射するだけなので手術の不安も少なくなります。また広範囲で照射できるのでワキの汗腺を均一に施術可能です。
デメリット
保険適用されないことがあるので事前に費用を確認しておきましょう。副作用としては腫れが1~2週間ほど残る場合や麻酔注射の後が数日間残ることもあります。
手軽にできるボトックス注射の治療
近年ワキガの方に人気がある病院の治療方法がボトックス注射です。ボトックス注射はボツリヌス菌が生成する天然たんぱく質でつくる薬をワキに注射する方法。この薬は交換神経から汗腺へ送られる刺激の伝達をブロックして発汗を抑える効果があります。ボツリヌス菌をそのまま使用するわけではありませんので感染する恐れはありません
世界中に普及しているボトックス注射は美容目的で使用されることもあり、80か国以上であらゆる療法で遣われています。日本ではボトックス注射を受ける方は10万人以上いるともいわれていますのでとても馴染みのある治療といえるでしょう。
ではボトックス注射のメリットとデメリットについてご説明します。
メリット
施術時間はそれぞれ10分程度でとても簡単、痛みはなく継続すると効果が倍増することもあります。
デメリット
ボトックス注射は4~9か月で効果が消えてしまうため継続する必要があります。治療当日は激しい運動はできず、妊娠計画をされている女性は月経が2回終了するまで注意が必要です。また費用が高く注射1回で5万~6万円。保険対象にならない場合もありますので事前にカウンセリングを受けて確認しておきましょう。
病院で薬を処方してもらう方法
手術はとても体に負担がありますし、リスクやワキガへの効果などあらゆる点を考えると抵抗になる人もいると思います。その場合病院でできる治療は薬によるものです。手術は発汗量を抑制したり汗腺を取り除き根本から改善することが目的。ワキガが軽度の方や傷跡を残したくない場合は抗生物質で治療することも可能です。
塩化アルミニウム液や抗生物質をワキに直接塗り、皮膚の雑菌を退治する方法。再発したらまた薬を塗り定期的な治療が必要になります。また交感神経の働きを低下させる抗コリン薬により発汗を抑制する内服薬の治療方法。さらに漢方薬で発汗機能を安定させる治療も行われています。
では薬によるワキガ治療のメリットやデメリットについてみていきましょう。
メリット
手術を受ける必要がないため安心。症状に合わせて薬の処方量なども変えられるので軽度や中度の方にオススメです。
デメリット
外用薬で消臭する方法は比較的効果がわかりやすいのですが、内服薬だと即効性がないため大切なイベントの前には間に合わない事もあるでしょう。
ワキガを病院で治す際に慎重に考えるべきこと
ワキガを病院で治す時は、自分の体調や症状などあらゆる角度から考えて判断しないといけません。外科的な手術を行っても完全にアポクリン汗腺を取り除けないことがありますので、ワキガは再する可能性があります。また手術方法によっては傷跡が残りますし、術後のダウンタイムや副作用なども心配ですよね。このような細かい点を考えたうえで自分にワキガの手術や治療が本当にあっているのかどうか、専門家の意見も合わせて判断することが大切です。
総合病院、美容外科などでワキガや多汗症の治療と手術を行っています。気になる方はまず問い合わせて、ワキガ診断を受けるのもよいでしょう。ワキガ手術は近縁技術が進み、体の負担を減らしたタイプも増えています。とくにレーザー治療は今後も利用する方が増えるのではないかという声も聞かれます。ワキガを病院で治療する前に、ワキガクリームなど高い消臭効果が期待制汗剤でセルフケアするのもよいでしょう。または食べ物やライフスタイルを見直して体のなかからワキガ対策する手段もありますよ、
まとめ
- ワキガ治療が必要かどうか判断は医師により異なる。
- 外科的に行う剪除法はメリットだけでなくデメリットもある。
- 超音波メスのワキガ手術は剪除法に比べ皮膚への負担が少ない。
- 皮下組織吸引法は手術時間が短く傷跡が小さいことがメリット。
- シェービング法は専用の器具でアポクリン汗腺を徹底的に取り除ける。
- 切らないワキガ手術『ミラドライ』はスソガ治療も可能。
- 発汗を抑えるボトックス注射はワキガ改善効果が期待できる。
- 手術したくない場合は、処方薬による治療も可能。
- ワキガ治療の方法は、自分に合った方法を選ぶことが大切。
ワキガを病院で治す方もいますが、ほとんど場合自分で改善できるといわれています。小さな心がけでもニオイを失くすためには大きなメリットをもたらす場合もありますので、汗と菌をターゲットにしてしっかりワキガ改善によい生活習慣も意識してくださいね。